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今はほとんど指さない将棋ファンです。角換りを中心に思うところを書いていきたいと思います。

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NHK杯準々決勝第2局 ~プロがうなる“わけのわからない手”▲47桂で羽生が制勝
録画していた2月12日のNHK杯準々決勝第2局、▲羽生二冠ー△郷田九段戦を観る。
角換り腰掛け銀同型から、先手が仕掛けで4→2→1→7筋の歩を連続で突き捨てる定跡形へ。47手目の▲35歩に対し後手の郷田九段は△81飛(第1図)と飛車を1つ引いた。

120212羽生ー郷田1

これには前例があり、前期(第69期)のA級順位戦6回戦(2010年12月10日)▲郷田九段ー△渡辺竜王戦で当の郷田九段が後手の渡辺竜王に指された手だ。その局では、第1図以下▲45桂、△44銀、▲74歩、△41飛、▲73歩成、△45銀直から後手は苦戦に陥り、先手の郷田九段が勝っている。今回はその経験に基づき十分な研究のうえに指されたものであることは想像に難くない。事実ここまで郷田九段の指し手は早く、よどみがない。

本譜では第1図から▲45桂、△44銀、▲74歩と前例通りに進んでいたが、52手目に後手は△45銀直と手を変えた。これが郷田九段が考えた修正手順だったのか。以下▲45同銀、△41飛、▲44角、△55角、▲同角、△同銀、▲73歩成、△45飛と進んだ61手目、羽生二冠は▲47桂(第2図)と指した。

120212羽生ー郷田2

ここまでほとんど時間を使わないで快調に指してきた郷田九段の手が止まる。研究からは外れていた手なのか。郷田九段の表情からはその内心を読み取ることは難しいが、やや当惑しているような様子もうかがえる。郷田九段は茶碗に手を伸ばし、気持ちを切りかえた後、3~4分考えた末にようやく△76歩と次の手を指した。

解説の深浦九段は▲47桂を見て感心したように「なるほど…(さすがに羽生二冠は)短時間でなんか出してきますね~」とつぶやいた。深浦九段はよほど感心したのか、その後もこの手に言及し「やはり▲47桂は印象に残ります」と言ったかと思えば、ついには「(▲47桂のような)わけのわからない手は読みにくいというか研究しにくいんです」と言い、「そこがこの二人の対戦成績に差がついている(羽生二冠の42-20のダブルスコアとなっている)理由です」とまで言い切ったのだ。

確かに直線的な手順でも攻め駒がさばけた先手に不満が無いこの局面で、あえて曲線的に指す▲47桂はプロでも頭に浮かび難い。いや、むしろ筋の良いプロだからこそ盲点となるのだろう。

本局は、この▲47桂以降先手が局面をリードし、終盤に少し勝負のあやがあったものの99手で先手の羽生二冠が制勝し、前人未到のNHK杯4連覇へ向けてまた1歩前進した。局後の感想戦で郷田九段はこの▲47桂を「良い手だ」と褒め、「指されると手が広くて難しい」と感想を述べていた。

そういえば羽生二冠は、このNHK杯戦放映前日の2月11日(土)に行われた第5回朝日杯将棋オープン戦の決勝の対広瀬七段戦でも、プロが嫌う“筋の悪い”手である△67銀(参考1図)を放ち、結局はこれが決め手になって優勝を果たしている。


120212広瀬ー羽生


未だ生涯勝率7割2分を誇る羽生二冠が、他のプロと一線を画している秘密のひとつは、(これまであちこちで語られているが)将棋ソフトと同様に先入観なく局面を見ることができ、そしてたとえプロ的には筋が悪く見えても、その局面における最善手を指すことができる能力なのだろう。そのことを垣間見ることができた1局だった。
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| | 2012/09/13/Thu 13:39 [編集]
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まとめ【NHK杯準々決勝第2局 】
録画していた2月12日のNHK杯準々決勝第2局、▲羽生二冠ー△郷田九段戦を観る。角換り腰掛け銀同型から、先 [続きを読む]
まっとめBLOG速報 2012/10/29/Mon 03:35
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