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今はほとんど指さない将棋ファンです。角換りを中心に思うところを書いていきたいと思います。

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行方八段,満を持してタイトル戦に登場。
王位戦が始まっている。羽生三冠に挑戦するのは,11勝1敗の好成績でA級に復帰するなど昨年から絶好調を維持している行方八段。39歳にしてタイトル初挑戦となる。

行方八段といえば,デビューから1年の94年に竜王戦で一気に挑戦者決定戦まで勝ちあがり,羽生(当時)五冠と3番勝負を戦い連敗で敗退するも,「大型新人」と騒がれてすぐにでもタイトル戦線に登場してくるものと期待されていた。しかし,95年に早指し新鋭戦優勝,将棋大賞の新人賞受賞,98年に42-12.778で勝率一位賞を受賞してからは,当初期待されたような活躍は影をひそめる。2007年にA級に上ったものの,僅か1勝しかできずに降級。このままB1の中堅棋士として定着してしまうのか…と思われた矢先の大活躍である。

行方八段絡みのエピソードは色々あるが,なんといっても四段昇段の際に抱負を聞かれて「羽生さんを倒して,いい女と寝たい」(正確ではないかもしれない)と発言し,世間の耳目を集めたことだろう。今日屋根裏に積み上げてある将棋世界のバックナンバーを出してきて93年~94年ころの行方(当時)四段の記事を探すが,正確な文言はわからなかった。
ただ,この発言はよほど注目を集めたに違いなく,プロデビュー早々,93年11月号の将棋世界で写真家の矩口勝弘氏の連載コーナー「素顔を拝見」に登場している。この記事で行方は鬱屈していた修業時代について彼独特の語り口でインタビューに答えている。この記事を読むと,先の「いい女…」発言も決して奇をてらったものではなく,19才の若者がもつ自負やプライドとそれと表裏一体のコンプレックスから出たものだとわかり,むしろその率直さが(50を超えたおじさんには)まぶしく思えるほどだ。
当時彼が意識していたのは,20代前半ですでに将棋界を席巻している(93年10月時点で五冠)羽生であり,それに続く佐藤康・森内である。羽生はA級1年目,森内・佐藤康はB2であった。

さきのインタビュー記事で行方は

将棋は命つめて指さないと意味がない。チャラチャラ,ダラダラ,そんなことやるんだったら死んだ方がいい。
メチャクチャ頑張りますよ。プロの第一局は棋聖戦ですが,来年は羽生先生を負かしてタイトル取りたいです。今はだれも羽生を俺がやっつけるという人がいなくなった。
四段になったからって,全然安心してないです。これから怖いです。とりあえず,今の三強とは大駒一枚違ってると思ってますからね。三強って分りますか。羽生,森内,佐藤康,あの57年組の三人。才能が違いすぎます。でも,あいつらは絶対倒さなければいけない。今までもそのつもりで勉強してきたんですから。
そしてタイトル取ったら,まずベンツを買って,それでいい女をエヘヘ,だからそれまでは,やっぱり童貞を大事に守りぬきます。

と語っている。

いかにも率直である。若者らしい気負いもむしろ微笑ましいくらいだ。この言葉を裏付けるがごとく翌94年,竜王戦で快進撃を続け,挑戦者決定3番勝負にまで突き進み「竜王戦ドリーム」と呼ばれる。しかし,羽生に0-2で敗れて挑戦はならなかったことは先に述べた。

その後,行方の持つ才能は時折きらめきを見せるものの当初期待されていたほどには花開かなかった。繊細さと目標の高さ,そして独特の感性から繰り出される言動が時折将棋界の話題にはなるが,それは本来期待された棋戦での活躍からくるものではなかった。そのことが本人にもふがいなかったに違いない。


それがなぜ変わったのか。

終盤力と悪くなった時の辛抱の良さが行方将棋の売りではあるが,将棋世界の最新8月号のインタビュー「行方尚史はなぜ変わったのか」を読んでいると,このところの好調さは,それに加えて自分の将棋を根本から見つめ直し,再構築をはかっていることから来ていることが窺える。

もちろん,そのきっかけは,twitterでつらね ‏@tsurane さんが6月14日につぶやいたことに尽きるだろう

しかし、今にしてみれば、「羽生さんに勝っていい女を抱きたい」ってのは順序が逆だったんだなあと。









第54期王位戦第1局は羽生三冠先手で角換り腰掛け銀の戦型に進み,7月10日(水)午後14時47分現在,39手目▲88王まで進んでいる。20年前に「絶対倒さなければいけない」と誓った相手が今目の前にいる。
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